訪問介護中に利用者が亡くなった話 その1
訪問介護中に利用者が亡くなった話 その2
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の話の続きです。
病院の公衆電話から、長男に搬送先病院を伝え
「すぐに来てください!!」といった。
午後13時過ぎ頃だったと思うが、
ナースが私を呼びに来たのでついていくと、Aさんが広い部屋(救急救命室?)
のベッドで、白い顔で心臓マッサージを受けていた。
ナースが「もう1時間以上マッサージをしていますが、この状態です。
やめてもいいでしょうか?」と、
機械の画面の線は、心臓を押したときぴょっこと一瞬持ち上がるが、
その時以外は、一直線のままだった。
「私は家族じゃないので、わかりません。家族が来るまでお願いできませんか?」
「あなたはこの方のヘルパーさんなので、あなたが決めてください」と。
(家族はいつ来るかもわからないし・・・助かる見込みは無に近そうだ・・)
「・・・・・はい・・それではやめてください・・」と返事をした。
Aさんの白い顔を触ると、冷たかった。
「それでは、これから身体をきれいにしますので、先ほどの部屋で待っていてください」といわれ別室に戻り待っていると・・・
ナースが来て「これから霊安室に運びますので、そちらに来てください」という。
(霊安室?家族が来たとき、すでに霊安室に居たでは困る)
「もう、ちょっと家族が来るまでまってもらえませんか?」
「亡くなった方を、ここに置いておくわけにはいかないのです」と。
Aさんはストレッチャーで黒い車に乗せられ、病院の中庭を通って、
病院の霊安室へ・・
私は、歩いて行った。
霊安室入り口には、葬儀社の関係者がいた。
霊安室は、映画で見るような場所ではなく、
長机がたくさん置いてある広い部屋で、隅の一角が1段高い8畳ぐらいの畳敷きになっていた。
Aさんは全身白い布にくるまれて、床の上に置かれていた。
私はその畳敷きの和室で使うテーブルがある場所で、待っているようにいわれた。
係員がこれから警察の人が来ますと言い残し部屋を出て行った。
遺体のAさんと同じ部屋に2人だけになり怖かった。
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しばらく待っていると・・
「やあ・・大変でしたねぇ・・」と、背広姿の男性が、部屋に入ってきた。
「そうなんですよ、お風呂に入っていたら・・・」と、
私は、その人が葬儀社の係員かと思って話すと、
「で・・・どうだったんですか?」と聞いてくるので、
(さっき言ったでしょ!と思いながら)
同じ話をすると、また聞いてくる。
「入浴が終わって出ようと思ったら、私の顔を見てすぐに下を見て、
は~は~と息を吐きました」というと、
「は~は~と2回ですか?」「そうです2回です」と、答えた。
そんなやり取りが5回ほど続いたとき・・
(これもしかして・・取り調べ・・・?
警察が来るというから、警察の服を着てくると思っていたので、
この人が警察と思わなかった、それと息を吐いたのは2回じゃなく
3回だったなと思っていた)
取り調べ?が終わり「次は検案をしますから、部屋を出てください」と言われたのが、
午後4時を過ぎていた。
これで終わりではなく、家族と入れ替わりで私を帰すという。
ふと、お昼ご飯を食べていないことに気づき
「昼食をまだ食べていないので、食べてきます」と出かけた。
病院の食堂で遅い時間の昼食をとり、戻ってくるとAさんの2人の息子さんが到着していた。
「二人で待ち合わせをして、ここに来た」という。
(待ち合わせをしてる場合じゃないでしょ、と思ったが)
私が長男に電話をしてから、5時間以上が経っていた。
私が昼食で離れている間に息子さんたちから
警察が、日頃の母親とヘルパーの私との人間関係を聞きだしたのだと思った。
外は暗くなっていた。警察が「お宅まで送りましょうか?」と聞くので、
「自転車をAさん宅に置いているので、取りに行ってから帰ります」と、
断った。
(パトカーで送るつもりだったのか?
それもよい経験だったかもしれない送ってもらえばよかったと後になって思う。
あの時の私はまだ真面目だった)
病院から、バスと電車に乗り継ぎAさん宅に行き、
自転車で自宅に帰ってきたのが夜8時過ぎごろ。
長い一日だった、どっと疲れが出て涙が出た。
数日後、登録している紹介所の社長から電話があり、
「Aさんの息子さんから 話が聞きたいと電話があったから、行ってやってね」という。
この紹介所は他人事のように、Aさん宅には出向く気がない。
私は、家族から賠償請求などされたらどうしようと急に不安が襲ってきた。
約束の時間に一人でAさん宅を訪ねると、
同居している?次男とその息子(孫)が待っていた。
あの日の入浴介助の時の状況を聞きたいと言う。
~~次回に続く~
(次回は最終回です)
最終回はこちら
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